Ka*neʻohe





   



 Ka*ne'oheのまちに灯りがともったよ。
 'Ilaniwaiの集まりが力をあわせて(実現したんだ)*。

 Hui
 'A*puakeaの雨とともにある、
 あのMalulaniのおだやかさや、
 Ko'olau山脈のひんやりした空気(で知られる、あのKa*ne'oheに)。

 電線が開通し、灯りもともれば電話もできる**……そんな、まちが豊かになる期待感とともに、いまも昔も変わらず土地のひとびととともにある風景が、その素朴さのままに歌われる『Ka*ne'ohe』。Ka*ne'oheは、O’ahu島の東側、Honolu*lu*からだとKo'olau山脈を越えた海沿いに広がるまち。海からの湿った風を受け、そのいただきが雲におおわれていることも多いKo'olauの峰々、雨でも霧でもなく空間を満たす、'A*puakeaに白く包まれしずむMalulaniのまち……そんな、Ka*ne'oheそのものといえる自然の描写に加えて、土地のひとびとの個人的な思いなんかも織り込みながら、あふれんばかりの喜びがさらに語られていきます。

 Ko'olaupokoといえばみんな知ってるよね。
 (そのふもとにある)Ka*ne'oheに灯りがともったんだよ。

 きみは甘い香りでうっとりしてるね。
 しっかり身に着けたぼくの大切なMamoのフェザーレイは、なんとも涼しげなたたずまい。

 あまい香りにうっとりしている君と、特別なleiを身に着けているぼく……「見つめあう二人」みたいな状況も連想されますが、なんとなく、新しい恋のはじまり(?)を期待したくなる描写でもあります。そう、恋人ができたらもちろんのこと、だれかが気になりだしただけでも、世界の色は違って見えてくるもの。そんな幸せいっぱいな気持ちを、変わっていくまちの風景に重ね合わせて歌っているのではないかと思われます。

 誇り高きMo*kapuの地は波のしぶきにぬれて***。
 He'eiaの岩がごつごつした風景(は迫力あるよね)****。

 He'eiaの一番のニュースさ。
 やさしい(あのひとの)声の電話(が届くんだよ)。

 あそこにみえるよね。
 そこで愛をはぐくむその場所が……。

 ぼくはきみの声が聞けて大満足さ。
 「ご機嫌いかが」ってぼくに応えてくれるんだもの。

 電話口から聞こえてくる、大好きなひとの声。なんてことのない会話でも、はじめてその声を電話口で聞いたときは、相当ドキドキしたのではないかと思われます。そしてなにより、離れていてもつながれる喜びは、なにものにも代えがたかったはず……。そうして、恋人との明るい未来に胸ふくらませるひとの目に、灯りがともりはじめたKa*ne'oheの風景は、いっそうキラキラと輝いて見えたに違いありません。
 
 この喜びが伝わったでしょうか。
 Ka*ne'oheに灯りがともったんだよ。

 現在は、たいてい4バースしか歌われない『Ka*ne'ohe』ですが、こうしてたどってみると、電気と電話の話だけで8番まであるのは、やっぱり長いかも……という印象があります。訳には入れていませんが、1バースごとにhui(繰り返しの部分)も歌われるので、おそらくフルで演奏されると、聴くほうも、そしてフラダンサーも間が持たないかも……。ですが、かつてはこの長さがよしとされていたわけですね。このことは、もしかすると、ここ100年足らずの間に変わったのは、風景や生活ぶりだけではないことを示しているのかもしれません。昔のハワイでは、というか日本でも、便利な通信機器や移動手段がなかった時代には、私たちの常識からすると日々の生活ぶりもおそろしく冗長で、気ままに会話を楽しんだり、刻々と形を変える雲を追いかけるような、ゆったりと流れる時間をみなが共有していたのかも……。そんなことを考えたりしながら、せめてmeleとだけはじっくり付き合いたいなと思った、スローライフな『Ka*ne'ohe』なのでした*****。

by Abbie Kong & Johnny Noble

*:'I*laniwai(Hiilaniwai)は「hui wai」(union in water)と呼ばれる儀式が行われていた場所。なお、「ka hui laulima」は、多くの手が集まって協力する集まり(団体)をイメージさせることば
**:Ka*ne'ohe で電気が使えるようになったのは1920年代後半のこと。
***:Mo*kapu(mo*〈moku〉 kapu、禁じられた場所)はKing Kamehamehaが王族たちのミーティングの場所として選んだことによる地名。この半島で漁ができるのは、身分の高い人(土地の有力者)や王族に仕える人たちに限られていたようで、その意味でも「kapu」(立ち入り禁止)とされた場所でした。
****:He'eiaには「he'e 'ia」(washed、波に洗われる)の意味があり、ハワイの創世神話に登場する女神「Haumea」が、波にさらわれたことがあった自分の養子の名を「He'eia」と名づけたことによるようです。また、岩がごつごつしている様子が「te tua motumotu」と、ポリネシアの古語を思わせる表現で歌われるのは、そんな神話が思い起こされる地名だからかもしれません。この地域には、風下側(Ko'olau山脈を隔ててKa*ne'oheとは反対側にある地域)から攻撃されそうになったときに、敵が津波に流されて勝利したという話も伝えられているようです。昔から、津波に見舞われることが多かった地域なのかもしれません。
*****:Ka*ne'oheの名の由来を、「Ka*ne」(ハワイの四大神のひとつ)の神聖な竹林であるとする説もあるようです。またKa*ne'oheは、「'ohe(竹のナイフ)のようなkane(夫)」つまり、「cruel and heartless husband」(愛情のないひどい夫)という意味で用いられることばでもあります。

1)Sterling EP et al: Site of Oahu. Honolulu, Bishop Museum Press, pp197-227, 1962
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