Pua Carnation





 伝えたいんだ、ぼくのこの気持ちを。
 愛するあなたは、カーネーションの花のようなひと。
 そんなきみが、しなやかに吹く風に運ばれてくる(のをじっと待っているのだけれど)。

 愛するひとをカーネーションの花にたとえて歌われる『Pua Carnation』。花のようなあなたの気配が、風に乗って運ばれてくるのを待ちながら、じっと感覚を研ぎ澄ませている……わずかな空気のゆらぎにも、愛するひとへの思いをかきたてられてしまう、そんな切なさを感じます。それにして、対象が不在であることが、それほどまでに感覚を繊細にさせるものなんだろうか―視覚的にではなく、からだ全体で空間を感じ取っているあたりに、どこか絶望的なまでのくるおしさがあらわれているような気がします。

 あなたの気持ちが私のところに届けられている(かのようなこの気持ち)。
 そして、こころは痛むのです。
 ここにいて、私のことを思ってほしい。
 さぁ、ふたり一緒になりましょう。
 
 風の気配に面影を探してしまうほど、その愛するひとと(物理的に、あるいは気持ちのうえで)遠く隔たっているんだろうか……そんなことを思いながら聞くと、冒頭の「'auhea wale ana 'oe」(聞いてください)*という、ハワイアンソングのお決まりのフレーズも、いつになく心に響くように感じられます。そして、この慣用句が元々持っている意味を考え直してみたくなりました。あなたはどこにいるの?私はここにいるのに……相手との距離がかきたてる切ない気持ちが、短い歌詞のなかにギュッと凝縮されている、そんなギリギリのところでことばが選ばれている感じがこの歌にはあるように思います。そう、だれだって大好きなひととは、いつだって一緒にいたいもの。そしてできれば、こころを通わせたいと思うはず(noho ‘oe a mana’o mai)……。1916年に作られた歌だといいますが、人間のこころの基本的なありかたは、百年やそこらで変わるものではないようです。

*:文字通りの意味は「あなたはどこにいるのですか」ですが、歌などによく用いられるフレーズとしては、「listen!」「pay attention!」を意味する慣用句として用いられます。

by Charles E. King
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