Pu*pu* o Ni’ihau





 Ni‘ihauシェルよ、どこにいるのかな?
 どうか、あなたの美しさをみせてくれないか。

 きわだった気品で誇り高い、
 (そんなあなたなのことを)ぼくのこころは求めているのです。

 「あなたの美しさを」(i kou nani)「見せて」(ho*‘ike a‘e ‘oe)と、貝殻(pu*pu)に語りかけるような感じから、なんとなくかわいらしい印象もある『Pu*pu* O Ni‘ihau』。Ni‘ihauシェルといえば、Ni‘ihau島で採れる小さくて色とりどりの貝殻の総称で、そのleiが島の特産品だったりもすることから、島の象徴として歌われることも多いようです。もっともここでは、それが「欲しくてたまらない」(ka ‘i‘ini nui、文字通りには「大きな欲望」が心の中にある)とされるので、もっと個人的で、切実な思いが歌われているのではないかと思われます。たとえば、なかなか思いを伝えられなくて、「(こんなに思いが届かないなんて)いったい、あなたはどこにいるんだろう?」(‘auhea ‘oe)*と言いたくなる……そんな状況ですね。それで、Ni‘ihauシェルのように繊細で、気品ある美しさを備えている(he nani hiehie)そのひとのことを、手が届かないほど遠く高く感じてしまう(‘oi kelakela)……みたいな感じでしょうか。

 ぼくはHa*’upuの丘とともに高台にたたずんで、
 あなたへの思いを募らせているんだけれど、ねぇ、いとしいひと……。

 Ha*’upuといえば、Ni‘ihau島の東側にある島、Kaua’iの南東にある小高い場所。そこで、あなたへの(nou)思いをかきたてられながら(‘upu a‘e ke aloha)、ひとりたたずんでいるんでしょうか。それにしても、「Ha*’upuの山とぼくと(で二人)」(ma*ua a‘o Ha*’upu)なんて、なんだか身につまされる寂しさですね。せめて鳥のさえずりや風のささやきが、そのひとのこころをなぐさめてくれたことを願わずにはおれません。

 きみの愛がもたらされ、(そうして)ぼくと結ばれて、
 たったひとりでさびしいこの場所に、ともに暮らすパートナーになってくれたらなぁ……。

 どうかあなたの愛が(ko aloha)、ぼくのところにもたらされますように(ho* mai)……そんな、祈るようなことばとともに、ここでは具体的な願いも語られています。あぁ、君と一緒に暮らしたいな(ko‘olua noho)……さびしい自分の居場所(kahi mehameha)を温めてくれるのは、あのNi‘ihauシェルのようなひとしかないとこころに思い定めているようです。

 もう一度、この歌の思いをこころに響かせて。
 Ni‘ihauシェル(のようなあのひと)に、この切ない気持ちが届きますように……。

 Ni‘ihauシェルにたとえられているところからすると、意中のひとはNi‘ihauに暮らすひと、あるいはNi‘ihau出身のひとなんでしょうか。19世紀半ばに、島ごと私有地になって以来、ハワイのひとでも自由な往来が制限されているNi‘ihau島。彼がKaua’iにいて、彼女がNi‘ihauにいて……みたいな感じだとしたら、Ha*’upuから西の方向を眺めたくなる気持ちもわかる気がします。結ばれるかどうかの境目のところで悶々としている、ギリギリの状況も想像されますが、Ha*lau Mo*hala ‘Ilimaの『2001 Merrie Monarch Fact Sheet』が紹介されているサイトによると、Ni‘ihau島では婚姻の祝いの席で歌われるタイプのmeleなんだとか**。つらくても、困難を乗り越えてこその幸せってことなのかもしれません。

*:「‘Auhea ‘oe?」の文字通りの意味は「where are you?」。詩的には、慣用句として「listen?」(私の気持ちを聞いてください)として用いられます。ここでは、なかなか思いを遂げられない相手との距離感を表現したくて、「どこにいるのかな?」と訳してみました。
**:http://www.halaumohalailima.com/HMI/Pupu_o_Niihau.html
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