He Wehi Aloha







 しっとりと驟雨に包まれて、
 (これも)愛すべき風景のひとつなんだなと思う。
 ここちよいミストのような雨よ……。
 さぁ、次はぼくら二人、どんなふうに楽しもうかな?
 からだ全体で心地よさを感じ続けるために。

 しっとりと驟雨に包まれながら(ua kili iho mai)、そこに愛をいろどる特別な風景を重ね合わせて歌われる『He Wehi Aloha』。「E ka ua ke*hau anuhea」(ここちよい驟雨よ)と呼びかけられるあたり、なにか特別な思いでその雨に身をまかせているようでもありますが、だとすると、「'o hea ka*ua e luana a'e?」(次は二人でなにしよか?)みたいな感じで呼びかけている相手は、あたりをしめらせる霧のような雨(にたとえられている誰か)ということになりそうです。

 山手にあるWaolaniの土地はいまや自由に楽しめる場所となり、
 (そこには)霧が夢のように広がっている。
 このミストこそが思いを寄せる大切なあなた(の象徴)
 (そして)緑豊かなMaunawiliがあるのもそのおかげなのです。

 木々をしめらせる霧('ohu ke*hau)が、もう一つの世界へのいざないでもあるかのように、神秘的な表情をみせてくれるWaolaniの土地。「Ua noa~」(解き放たれた)と歌われ、古代にはheiau*があったりもしたというその場所は、近づきがたさから生じる神聖さと、その禁が解かれることで生まれる自由や喜びがあることの象徴として歌われているように思われます。このたび許されて、その地に足を踏み入れる幸福にみまわれた作者にとって、その空間を満たす「'ohu ke*hau」(霧)こそが天にもなぞらえたくなる神聖な存在であり、(Waolaniを含む)Maunawiliの土地が、緑豊かにいろどられ、命を再生産し続けることができるのも、豊かな水の循環がみせるその表情のおかげだと……。そして、愛を育む人間の行為、「からだ全体で心地よさを感じ続けるために」(i mau ka 'olu o ka nui kino)と歌われたことも、(比喩的にはという以上に)そんな自然の営みの一部分だったりするんですね。

 (Hui)
 (いまや)僕らは心かよわせて、しっかりした絆で結ばれてるよね。
 (そうして)愛(の風景)をいっそう特別なものにしてくれる驟雨(を思ってみる)。
 (大切な)あなたは、このWaoloaniで楽しむんだなと。
そんな思いでMaunawiliの美しい風景を眺める(と、その感慨もひとしおなのです)。 

 「(心をleiのように)編み」(ua wili)、「(いま)まさに結ばれている」(ua pili pono)……そんなパートナーと自分( ka*ua)との関係を重ね合わせながら眺める驟雨の風景(Ka ua ke*hau)は、「愛をいろどるもの」(he wehi aloha)としかいいようのないなにものかであるようです。緑豊かな空間と、そこをみたす雨としっとりした空気。そうして、そんな調和のうちにある美しさを、Maunawiliの地に見いだした(a 'ike i ka nani ‘o Maunawili)と繰り返し歌われる『He Wei Aloha』。ハワイ的感性でしか捉えられない、自然との深い交流空間があることをあらためて考えさせられた一曲でした。

words by Devin Kamealoha Forrest, music by Kalani Pe'a

*Maunawiliについて*
 Maunawiliは、O'ahu島はKo'olau山脈の東側、Nu'uanu Paliから海沿いのKailuaに抜ける途中に広がる山手の地域。『He Wehi Aloha』には、ひとけのない森でひとりたたずんでいるような雰囲気がありますが、人口も2,000人あまりと少な目で、ひとの営みよりも自然の姿がまっすぐ心に響いてくる、そんな空間が広がっているのではないかと想像されます。また、山側から海側に向かう、Maunawili渓谷の崖(head wall)沿いをたどるハイキングコース(全行程約10マイル)では、ハワイ語で「切り分けられた山」という名の通り、3つの頂からなるOlomana(約500メートル)が見せるさまざまな山の表情、そして、海岸線を広々と見わたせるドラマチックな風景も楽しめるんだとか。しかも、ハワイの固有種、外来種がともに生い茂ってもいて、途中、峰を2マイルほどあがるとMaunawiliの滝もあり、平たんでアップダウンが少なく楽なわりには、豊かな自然が楽しめる人気スポットのようです。

参考文献
1)McMahon R: Adventuring in Hawai'i. Honolulu, University of Hawaii Press, 2003, pp256-257
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