Ka Hi*nano O Puna






 Punaの(地にほころぶ)hi*nanoこそ、私の尽きることない願いそのもの。
 それは、深い思いが(leiを編むように)現れてくるときの感情に似ている。
 (あるいは)愛する喜びを思ってまどろむ、
 波にゆれるlehuaの花のような……。

 ここちよい風に身をまかせながら、思いがかき立てられるままにことばがつむがれていく……そんな、夢のような雰囲気に満ちている『Ka Hi*nano O Puna』。「'O ka hi*nano」(hi*nanoこそが)と強い仕方で歌われる「hi*nano」は、hala(英語名はpandanus)の雄の木に咲く花の呼称。その強い芳香が、恋の媚薬的な意味合いで用いられることもありますが、ここでは、「強く求める思い」(ka ‘i'ini)が、leiに編まれ形をあらわしていく(e lauwiliwili ai)ように立ち上がってくるとされ、まるでこのmeleそのものが、hi*nanoのleiでもあるような印象があります。また、これに続く「nipo ninipo」(まどろむように恋い焦がれる)や、「ka lehua ha'alewa la* i ke kai」(波に揺れるlehuaの花)といった夢見るような表現は、その思いが、いままさに、遠くここではないどこかへいざなわれていることも感じさせます。そして、雄の木の花であるhi*nanoが男性的、lehuaが女性的なものの象徴だとしたら、さらにイメージがふくらみそうな予感もします。このあたりは慎重に解釈する必要がありますが、いずれにせよ、思いが歌われる時点で、それが向かうなんらかの対象が存在することは確かではないかと思われます。

 Halaのしげみにいると聞こえてくる波のささやきが、
 私のからだをまるごとやさしく包んでくれている。
 (そうして)Punaから吹いてくるMoani'alaの風は、
 私の求めてやまない気持ちを運んでいく……。

 「Halaのしげみのなかで」(i ka uluhala)、「聞こえてくるささやきのような波の音」('o ke kai nehe mai)……ここでは、先のバースで歌われた、Punaにあるhi*nano咲き誇るhalaのしげみに身を置いているときのことが歌われています。もっとも、私の求める思いを(i ku'u ha'eha'e)運んでいく風、Moani'alaは、「Punaから吹いてくる」(no Puna)と歌われていて、その思いの原点ともいえるPunaのhalaのしげみは、いまは手の届くところにはないようでもあります。それに加えて、「ku'u li'a」「ka ‘i'ini」(以上、1番)に続いて、ここでも「ku'u ha'eha'e」と、強く対象を求めていることをうかがわせることばが選ばれているあたり、離れているからこそ恋い焦がれ、記憶のなかにたどってしまう心境がうかがえるように思ったりもします。

 Peleの炎に、熱く赤く燃えさかるPuna。
 わき上がる溶岩は'O*'o*の丘で轟く。
 激しく燃える火はますます燃え上がり、
 (その煙は)日暮れを思わせる空にたなびいて……。

 前半のバースでたどられた、おだやかに香る風が吹く海辺の空気感が一変し、ここでは溶岩が赤く燃え、激しくわき上がり轟くさまが描かれています。「夕暮れのような」(i ke ano ahiahi)という表現が、立ち込める煙が空を覆い、太陽の光さえさえぎられる状況を思わせますが、遠くを見晴らすように思いを馳せていた前半とのこのコントラストは、外からはうかがい知れない秘めた思いの熱さや激しさ、あるいは、理性の埒外にあるエネルギーが発散されるありさまを、燃える大地という自然の風景に重ね合わせているのではないかとも考えられます*。

 この歌に込めた思いをこころに響かせて。
 あの素敵な香りに包まれる場所にほころぶ、Punaのhi*nanoへの思いを……。
 もう一度繰り返すわ。
 (Paia 'alaに続く)小道で、幸せそうに横たわるあなたへの気持ちを。

 こうして最後に、ここまで歌われていたのは、「paia'ala」(hi*nanoの香りの壁に囲まれた場所)のことを歌ったものでもあることが明かされます。「壁に囲まれた」と訳すと、小屋、あるいは塀に囲まれた空間を連想しますが**、ここではおそらく、halaが生い茂って壁のようになり、周囲から隔離されている(したがって、ひと目をはばからずに過ごせる)場所が、海の近くにあるということではないかと思われます。それにしても、このmeleが「小道でおだやかに横たわるあなた」(ka hoa lu*lana moe i ke ala)に向けたものであるとされるあたりは、どうしたってその誰かとの関係を深読みしたくなるところではあります。たとえば、無防備にからだを投げ出し、リラックスしているあのひとに寄り添ったことや、ともにpaia'alaでhi*nanoの香りに包まれるような気分で過ごしたときの、幸せな記憶をたどったりしているのかなと……。もっとも、このあたりはいわば作者の個人的な思いの部分であり、直接思いを聞く機会がない限り、あまり深入りすることは避けた方が賢明かもしれません。それに、鑑賞者の立場からは、まずはハワイ的な修辞法からうかがえる独特の自然観や、それと向き合い寄り添うひとびとの生活を感じることのほうが、より重要な気もするんですね。そう、燃える大地に生かされてあるひとびとにとっては、轟きわき上がるエネルギーこそが日常であり、自らの思いそのものでもあるのかもしれないなと……。
 そんな、激しい生のあり方と、まどろむようなおだやかさが同居しているように思われる『Ka Hi*nano O Puna』。拮抗する力のせめぎ合いのなかで、有形、無形に世界が形をなしていくダイナミズムを感じた一曲でした。

by Kainani Kahaunaele

*:Pu'u 'O*'o*はKi*lauea火山にあり、近年、最も激しい活動がみられる円すい丘。ちなみにPunaは、Hawai'i島の南東に位置し、広さ約1,300平方キロメートル、Kaua'i島よりも少し小さいくらいのエリアで、その西の端にあるKi*lauea火山から東側の海沿いの地域に向けて、ゆるやかな傾斜とともに続く地域です。
**:ハワイ語辞書によると、「paia'ala」は、halaのしげみだけではなく、Hi*nanoの香りを楽しむべく、その花の苞葉の部分を壁に編みこんだわらぶき小屋のことも指すようです。

composed by Kainani Kahaunaele
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