Ho*lau







 Ho*lauってホントいいところだわ。
 賑わいがあるのよね。
 よく整ったマーケットがあるの。
 大勢のひとたちが訪れるわ。
 
 Ha'aheo Ho*lau
 Uluwehiwehi 'oe
 Ma*keke linohau
 A ka lehulehu

 「Ho*lauを誇りに思うわ」(ha'aheo Ho*lau)というフレーズに、作者がいだくその場所への特別な思いが感じられる『Ho*lau』。多くのひとたちが訪れ(a ka lehulehu)、そして賑わいがある(uluwehiwehi)なんていわれると、思わず行ってみたくなりますが、それもそのはず、Lena Machado が、Ho*lau Marketというお店のコマーシャルソングを依頼されて作ったものなんだといいます*。

 きれいで、スムーズ(に買い物ができて)、
 なんといっても新鮮なの。
 あの壁だって美しすぎる。
 きらきら輝いてる(ように見えるわ)。

 He nani he pani'o
 He u'i mai ho'i kau
 Nani 'oi kela ke*la* paia
 E hulali nei

 きれいで(he nani)、買い物がスムーズで(he pani'o)、新鮮で(he u'i)……きっと品ぞろえが豊富で、整理整頓、掃除も行き届いた店内だったに違いありません。そんなHo*lau Marketですが、そもそもどうしてLena Machadoがその歌を作ることになったのかというと……物語は、Lena Machadoがまだ少女のころ,養母、Mary Davis Loo Panの友人たちとともに、Honolulu Harbor近くのFort Streetで、旅行客相手にleiを作って売っていたころにさかのぼります。Lenaよりもうんと年上だった養母の友人たちですが、LenaはLeiの作り方はもとより、ハワイの古い歌やハワイ語、仕事をするうえで大切なこと等々、彼女たちから多くのことを学んだといいます**。そうしてお世話になった彼女らの子どもたちが、チャイナタウンのKekaulike St.に小さな店を構えたのが、Ho*lau Marketの前身***。その後、事業を拡大すべく1936年に移転したのを機に作られたのが、Lena Machadoによるこの『Ho*lau』だったというわけです。

 (とにかく)すてきなところなの。
 いつ見ても(うっとりする)。
 (きっと、違いが)わかるひとの,たしかな技術で作ってるからね。

 He nani i ka maka
 Ke 'ike aku
 I ka hana lima no'eau
 A ke akamai

 お店ができて、歌を作ってほしいと頼まれたLena Machadoは、曲作りのためにHo*lau Marketへ出向きました。Honolu*lu*ハーバー近く、Kekaulike St.とKing St.の角にあったその店は、大きくて真新しく、白く輝いて、もちろん屋根は金属製……「熟練者の手による仕事」(i ka hana lima no'eau a ke akamai)なんて表現があるのは、このあたりの外観のりっぱさが表現されているのではないかと思われます。そんな斬新さをさらに華やかにいろどるように,ti* leafやさまざまなお花が飾られていたことは、もともとleiの製造販売からはじまったことの名残だったかもしれません。そして、leiもまだ売られてはいましたが、主力商品はなんといってもハワイアンフード。Poi、laulau、ake、いろんな種類のlimu(海藻類)、生魚も塩干も取り揃え、タコなんかも扱っていたようです。もっとも、ハワイアンフードといっても、テイクアウトのpokeコーナーなんてものはない時代。もっといえば、切り分けられた魚がプラスチックトレーにパッケージされているようなこともありません。では、どんなふうだったかというと……お客がこれという魚をホールで選ぶと、好みにあわせて店員さんがさばいてくれる、昔ながらのスタイルですね。特別なケースでは「palu」と呼ばれる、魚の頭や内臓を使った調味料を作ってもらえることもあったとか****。このあたりの食材は、あまりにネイティブ過ぎてイメージしにくいですが、Ho*lau Marketといえば、舌の肥えたハワイアン御用達の、それでいて昔ながらの市場の雰囲気もあるような、新しくてなつかしい、しかも、とびきりの食材に思わず興奮してしまう('ono a ka pu'u)、そんなところだったのではないかと想像されます*****。

 にぎわいがあるところなの。
 たくさんのひとだかりでね。
 そこにはおいしいものがあって、
 グルメ心をみたしてくれるわ。

 E ho*lau mai ana
 I ka nui lehulehu
 Aia i laila ka mea 'ai
 'Ono a ka pu'u

 Lena Machadoの実力にも助けられ、発表されるとほどなくポピュラーになったという『Ho*lau』。彼女の情緒豊かなファルセットボイスのおかげで、ついロマンチックな情景を重ねそうになりますが、歌詞をたどってみると、マーケットの賑わい以上の内容は含まれていないことがわかります。ハワイ語をよくわからずに聴くと、Ho*lauは美しく眺めのいい場所で、恋人たちがそこでおいしいものを食べたり、いい時間を過ごしたりするんだろうか(!?)なんて思ってしまいそうですが……。そして、Lena Machadoに近しいひとの見解では,彼女自身も、そんなkaonaを考えてはいなかったようです******。裏の意味があるんじゃないかと、つい深読みしたくなるハワイ語ですが、妙な妄想をふくらませるよりも、まずはことばに忠実に(!)を心がけたいものです。

by Lena Machado(1941)

*:歌詞にある「ma*keke」は英語「market」のハワイ語読み。「Ho*lau」は、Honolu*lu*はダウンタウンあたりの、海に面した地域の古い名前のようです。
**:Lena Machadoは、leiを作りながら年上の彼女たちが語った話をもとに楽曲を作ってもいます(『Ho’onanea』参照)。
http://hiroesogo.blog.fc2.com/blog-entry-430.html
***:Kekaulikeは,Lena MachadoたちがLeiを売っていたFort Streetを少し西にいったあたりの通り。
****:Paluは、魚の内臓や頭にkukuiの香料、ガーリック、チリペッパーなどで味付けした香辛料。昔のハワイアンの家庭では、それぞれに秘伝のレシピがあったりもしたようです。
*****:1970年頃に撮影されたとされるHo*lau Marketの写真には、白い金属製の屋根と劇場風のエントランスとともに、アールデコ調の看板が写っていて、「Ho*lau Market -Fish-Fruit-Vegetable-Meet」とあります。
******:Kaonaはハワイ語の詩的表現によくみられる、ひとつのことばにいくつかの意味の層を重ね合わせる修辞法。

参考文献
Motta P: Lena Machado-Songbird of Hawaii-My Memories of Aunty Lena. Honolulu, Kamehameha Schools, 2006, pp41-45
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