Hilo Hula






 Hiloと聞いたら誰もがイメージすること……といえば、
 そう、Kanilehuaの雨ね。
 (なんとなく)肌をぬらす雨で、
 訪れるひとは(もれなくその感触を)体験するの。

 Kaulana mai nei 'o Hilo 'ea
 Ka ua Kanilehua 'ea*
 Ka ua ho'opulu 'ili 'ea*
 Ka 'ili o ka malihini 'ea*

 Hiloのまちをリアルに体験しているひとの感動が、軽やかにはずむようなメロディラインからあふれるように感じられる『Hilo Hula』。あれっ、なにこの雨!?……たとえば、はじめてHiloにやってきた旅行者(malihini)なら、まずはその土地ならではの雨の感触にびっくりかもしれませんし、一方、そんな彼らを迎える地元のひと(kama’a*ina)は、誇らしげに話しかけたりするかもしれませんね。これが有名なKanilehuaの雨よ、みたいな感じで……。日々、その雨とともに暮らすひとにとって、いわば家族や友人のような存在であるその雨は、Hiloの地にあることの幸せをともに分かち合う、なによりの歓迎の印なのかもしれません。

 眺めがとにかく素敵なの。
 (たとえば)Waia*keaの美しさとか、
 Waiolamaの海辺とかも……。
 Hawai'i島の輝かしい風景って感じね。

 Nani wale ho'i ka 'ikena 'ea*
 Ka nani o Waia*kea 'ea*
 Ka wai o Waiolama 'ea*
 Ma*lamalama Hawai'i 'ea*

 「眺めがとにかく美しい」(nani wale ho'i ka 'ikena)と歌われるWaia*keaは、Waia*kea kai(海沿いの地域)からWaia*kea uka(山側の地域)にまで至る、古代ハワイの地域区分であるahupua'aの名残でもある地名。現在はHilo Bayを指すこともあり、ここでも「Waiolamaの海辺」(ka wai o Waiolama)がそれに続いて歌われるように、どちらかというと海沿いのイメージが強い地名のようです。ですが、「Hawai'i島は輝く美しさ」(ma*lamalama Hawai'i)と歌われてもいるので、Big Islandらしいダイナミックな風景を思い起こしてみてもいいかもしれません。たとえば、Hiloの海沿いから、Mauna Loaにまで続くなだらかな山肌を、ひろびろと見わたすときの感動とか……。そう、波しぶきの輝きと、4千メートル級の山を同時に体感できるのも、Hawai'i島ならではの醍醐味なんですね。

 Mokuolaもよく知られてるでしょう。
 海水浴とかするのにいい島ね。
 肌がいい具合にうるおうっていうか。
 水しぶき(が気持ちよくってね)。
 
 Kaulana ho'i Mokuola 'ea*
 He moku 'au i ke kai 'ea*
 E ho'opulu 'ili nei 'ea*
 Ka hunehune kai 'ea*

 Mokuolaは、Hilo Bayの東の端、Waiakea半島の西側にあり、Lili'uokalani Park and Gardensから遊歩道的な橋でつながっている小さな島。軽い散歩にぴったりな、こじんまりと整備された空間が広がっていて、ヤシの木が風にゆられるさまをながめているだけで、なんとなくこころおだやかになれるような、そんなロケーションにあります。古代には「moku-ola」(命の島)という名の通り、病の治癒のために訪れる場所でもあったようで、「水浴びをする島」(he moku 'au i ke kai)と歌われるのは、そのあたりの含みがあるのかもしれません*。

 美しいleiで飾る(ように言葉を紡いでみたの)。
 (Hawai'i島らしく)花はもちろんlehuaでね。
 (Hiloのまちの)感動を届けたくて、
 (この歌を)Kanilehuaの雨にささげます。 

 Lei ana i ka lei nani 'ea*
 Ka pua o ka lehua 'ea*
 Ha'ina mai ka puana 'ea*
 No ka ua Kanilehua 'ea*

 「この歌をKanilehuの雨に捧げます」(no ka ua Kanilehua)と締めくくられる『Hilo Hula』。このひとことで、偉大な人物や大切なひとのことを語る「he mele inoa」と同じ仕方で、Hiloの地に降るKanilehuaの雨をたたえるべくことばが紡がれていることがわかります。HiloといえばKanilehua……いってしまえばそれだけのことですが、まちの素晴らしさを象徴するものとして雨が選ばれているあたりにハワイ的価値観があらわれていると考えると、もう少し深いところを感じることができるのではないかと思ったりもします。たとえば、雨こそが大地('a*ina)をうるおす命の源であり、水の循環も含め、豊かな自然がなによりの宝であるとする、Ka*ne信仰にもつながるような感覚が、そのひとことで表現されているのではないかと……**。大地とともに生きる感覚を軽やかに伝えるメッセージは、Hawai'iの地に根を張り生きるlehuaのように、まっすぐで迷いのないものなのかもしれません。

*:Mokuolaは、古代には、heiau(祭祀を行う場所)があったり、pu'uhonua(追っ手を逃れた兵士などが安全を確保できる場所)でもあったりと、ハワイのひとびとにとっては特別な意味合いのある場所だったようです。また、過去に何度も津波に見舞われてもいる場所で、とくに被害が大きかった1877年にはいったん何もかも流されているようです。その後、1880年に天然痘、1900年にペストが流行したときには島全体が隔離施設として用いられており、公園として整備されたのは20世紀になってから。また、第二次世界大戦中は米軍の施設として一般の立ち入りが制限されていたこともあり、みためのおだやかな印象に反して、その変遷がハワイの激動の歴史そのものだったりする場所でもあります。
**:Ka*ne信仰と水の循環との関わりについてはこちら。
http://archives.mag2.com/0001252276/20170627170000000.html

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