Ku'u Leo Aloha






 熱い思いがふいによみがえってきたんだ。
 きのうの夜の、きみの素敵な姿が引き金だね。
 (きみを思う)こころのゆらぎが押し寄せてきて、
 まるで永遠に続く波のよう(に切なくて)……。

 目を閉じるたびに思い起こされるいとしいひとの面影が、しなやかなメロディラインとともに浮かんでは消えていく……そんなひそやかな気配を感じさせる『Ku'u Leo Aloha』。熱い「愛の思い」(ka hali'a aloha)が不意にわきあがってきた('upu a'e nei)のは、「昨晩のきみの美しい姿のせい」(i kou nani i ka po* nei)だとされ、誰かにこころ奪われた直後の、なんだか落ち着かない気分がうかがわれます。その一方で、この歌の飾り気のない感じはおだやかさそのもので、「まるで寄せては返す波のよう」(me ke kai e holu mau ana)に繰り返し込み上げてくる思いを、自らへの祝福として粛々と受け止めているような雰囲気もあります。

 いとしい(君のその)声に、僕のところにひびいてきて(と叫びたい気分)。
 そんな思いを(僕は)ずっと抱きしめているんだけれど。

 「僕が愛する(きみのその)声」(ku'u leo aloha)に、「もっとこちらに響いてきて」(e naue mai)と(こころのなかで)叫んでいる……そんなふうに、この繰り返しの部分では、冒頭で語られたような「昨晩(見た)きみの美しさ」(kou nani i ka po* nei)といった視覚的な記憶ではなく、誰かの「声」(leo)についての思いがこころから離れない(e pili mau ai)と歌われます。ここに登場する「ku'u leo aloha」はこの歌のタイトルでもあり、だとすると、誰かの姿以上に、たとえば、その声が聞こえてきたエピソードあたりが重要だったりする可能性もありそうですね。たとえば、不意に歌うようにチャーミングな声が聞こえてきて、その声のふるえに導かれるままに視線を向けたその先に、その素敵な彼女の姿があった(!?)みたいな……。

 きみはターンしたりしながら、じっとこちらを見つめてたよね。
 そのチャーミングな瞳で。
 (そう、僕の)ハートをぐいぐい引きつけながら。
 それでもう、きみの美しさにただただ圧倒されてしまったっていうか……。

 「くるっと回って」(huli)、「じっと見つめて」(kilohi)……なんだかすごくアクティブな印象ですが、作者、Josh Tatofiが見初めたその女性は、どうもフラダンサーらしいという話があるようで、ここに表現されている彼女の動きやまなざしは、おそらく、彼女が踊っているときのものではないかと思われます。素敵なダンサーに「うっとりと魅力的なまなざしで」(me kou mau maka onaona)じっと見つめられたら(kilohi mai)、男女を問わず誰だってドギマギしそうですが、Josh Tatofiの場合は、電光石火、いきなり雷にでも打たれたように恋に落ちてしまった……「'ilihia」という、相手に対する畏怖の念に近いものを連想させることばから、そんなドラマチックな想像もかき立てられます。と同時に、切なさのなかにも満ち足りたものを感じさせるこのmeleには、激しい恋心というよりも、女神を見つけた喜びを反芻しながら、それが決して夢ではないことを確認しているような雰囲気があるようにも思ったりします。

 いとしい(君のその)声に、僕のところにひびいてきて(と叫びたい気分)。
 (僕が)ずっと抱きしめているきみの面影(に向けて)……。

 そうして(僕は)きみへの思いをずっと抱きしめている。
 ずっと(僕と)ともにあるきみの面影を……。

 僕が思いを寄せるきみ、あるいはきみと僕との関係(ke aloha)を、僕はずっと離さず大切にしているし(ke aloha e pili mau ai)、それは、いまもこれからも続いていく(ke aloha e pili mau ana)……そんな微妙なことばづかいで、繊細なこころ模様が表現されている『Ku'u Leo Aloha』。万物が絶え間なく移ろいゆくこの世界で、この思いだけは続きますようにと願う、静かな祈りのような一曲でした。

by Josh Tatofi
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