E Ku’u Morning Dew







 ぼくのいとしい朝露。
 急がないで,どうか消えてしまわないで。
 気づいてほしい、
 ぼくのこの呼びかけに。
 待っててね。
 ぼくを、そうぼくのことを。
 ぼくはここにいるよ。
 (あふれんばかりの)愛をたずさえて。

 さわやかに晴れわたったある朝のひとときの、一瞬、一瞬のきらめきがそこかしこにちりばめられている『E Ku’u Morning Dew』。夜明けのおとずれとともにその姿をあらわした朝露(morning dew)に向けられるメッセージが、まるで夢の中にあらわれた恋人へのささやきのように、あまく、切なく連なっています。「このぼくのことをどうか待っていて」(e kali mai ’oe ia’u nei)と歌われるストレートな感じが、いますぐにでも飛んで行きたい、はやる気持ちを思わせますが、おだやかな朝の空気のようにゆったりとしたメロディは、愛で満たされた誰かの幸せな気分そのもののようでもあります。ですが、朝露は朝のわずかな時間にだけ輝いて、ひと知れず消えてしまうもの。そんな自然の宝石の一瞬のきらめきは、大切なひとに重ね合わさずにはいられない、みごとな美しさだったに違いありません。

 朝が目覚めて、ひんやりとやさしい雨がきらきらして、
 ほんのり染まりながら、かすかにふるえる様は(繊細な)頬をみるよう。
 Ma*na*の山手、厚い雲におおわれているあのあたり……
 そこでぼくらは強く結ばれるんだ。
 そう、あの(運命の)場所でぼくら二人、ずっと一緒さ。

 太陽とともにめざめた(wehe mai ke alaula)すがすがしい朝。朝露をいっぱいためた木の葉は陽の光をあびてかがやき、頬をそめるようにいきいきと見え始めたようです(e ho’ohehelo ana i nei a pa*pa*lina)。ここまでは、視線が手の届くあたりをなぞっている感じがありますが、後半では、おもいっきり深呼吸でもしながら遠く、Ma*na*の山側の風景をながめ(i uka o Ma*na*)、山の頂が厚い靄(もや)でおおわれているあたり(i ka ’iu uhiwai)に思いを馳せているような感じがあります*。水の循環によって形作られる自然の美しい造形に、深くこころ動かされている様子が目に浮かぶようですが、山にかかる霧や雲は、愛の欲望やその成就を重ね合わせる詩的表現として用いられることばでもあり、だとすると、この歌に連なる繊細な自然描写は、すべて愛する思いをつづったものであるとも言えそうです。それにしても、刻々と姿を変える早朝の風景を、まるごと愛する思いになぞらえたくなるなんて、いったいどれほど幸せな気分だったのでしょうか……。しっとりと肌をぬらすハワイの朝の空気には、命を目覚めさせる不思議なパワーがひそんでいるのかもしれません。

Words by Larry Kimura, music by Eddie Kamae

*:Ma*na*はKaua’i島の西側、Waimea地域の海沿いにはり出した山。
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