Hula O Makee






 どこへ行っちゃったの!?Makee号
 Ma*lulani号があっちこっち捜索中!

 'Auhea iho nei la* 'o Makee
 A ka Ma*lulani la* e huli hele nei

 (船底を)引きずって動けなくなったMakee号を発見!
 ※(取り残されたMakee号はKapa'aで見つかったとか)
 珊瑚礁に乗り上げて転覆した状態で!
 
 Eia 'o Makee kaha i ka pa'a
 ※(Aia aku nei kahi i Kapa'a)
 Ka waiho kapakahi i ka 'a*papa

 軽快なメロディにのせて、座礁した船をめぐるストーリーが語られる『Hula O Makee』。1897年に起こり話題になった海難事故が、なぜか多くのコンポーザーの創作意欲をかき立て、いくつものバージョンが存在するというよく知られたトラディショナルソングのひとつです*。
 Makeeは、当時、Maui島でサトウキビ農園を経営していたJames Makee所有の蒸気船。Kaua’i島のKapa'a北部、Kea*liaの近海で、沖に向かおうとしていたところを強風に阻まれ、サンゴ礁にひっかかって転覆**。助けを待つ数時間の間に積み荷がほどけ、船体を支える柱も折れて、しかも夜中の出来事だったという、かなり悲惨な状況だったようです***。

 (危険を知らせる)警笛の音がいい具合に響いて、
 (あの)ニュースを知らせていたんだ。

 'O ke kani honehone a ke oeoe
 A e ha'i mai ana la* i ka lono

 そう、夜中の10時(だった)。
 Malulani号が(助けようと)ちょうど沖合を通り過ぎたのは……。

 'O ka hola 'umi ia o ke aumoe
 Ka*'alo Malulani ma waho pono

 Hailamaがオールをしっかり握って(勇ましく)登場。
 (船は)前に後ろにと揺れてたね。

 Ku* mai Hailama pa'a i ka hoe
 I mua a i hope ke kulana nei

 夜の闇をつんざくように、突如、鳴り響いた船の警笛音('o ke kani honehone a ke oeoe)。地元のひとびとは、なにごとか!?と驚いて、様子を見ようと集まってきたようです。ほどなく事態が判明し救出を要請されたのは、Kaua’i島北部、Ha*'enaの舵手(船乗り)で、漁師でもあったHailama。船を操るスキルを見込まれてのことだと思われますが、転覆したMakee号をreefから移動させる作業は困難を極め、救出劇は朝まで続いたとのこと。Malulani号が現れたのは夜中の10時('o ka hola 'umi ia o ke aumoe)ですから、見通しもきかず大変だったに違いありません。そしてもちろん、夜中にたたき起こされたまちのひとびとにとっても……なかには、夜明かししたひとも少なからずいたかもしれませんね。

 僕は(いわば)最悪の状態で船上に転げ回ってた。
 こんなバカでかい甲板のせいでね。

 A he e'e kakeke mai nei au
 No ne*ia 'oneki nui a*kea

 海は君にはあまりに大き過ぎたんだ、ねぇ、Makee
 'Ie'ie海峡は波が荒いところだから……。

 A*kea ka moana nou e Makee
 Ma ke kai holuholu o ka 'Ie'ie

 さぁ、この歌の言わんとするところを、いま一度味わってみて。
 Makee号が行方不明になった、あの事件の顛末を……。

 Ha'ina 'ia mai ana ka puana
 'Auhea iho nei la* 'o Makee

 「私はいわば(荒波にもまれて)ぐちゃぐちゃになっている乗船者」(he e'e kakeke mai nei au)……淡々とことの顛末を語っていた前半とはうって変わって、後半にはこんな思わせぶりなフレーズが登場します。いきなり一人称の「私」(au)が語り出し、「海は君にはあまりに大き過ぎたんだ、ねぇ、Makee」(a*kea ka moana nou e Makee)なんて親し気に話しかけている感じは、船の事故を描写している箇所とあきらかに雰囲気が違っています。
 ここで参考になりそうなのが、この歌が実は船を擬人化してあることを語ろうとしているものだという解釈。その場合、Makeeが女性で、彼女を探しに行ったMalulaniが男性とされますが、波がおだやかであれば気持ちよく航海できるところを、「'Ie'ie海峡は波が荒いところ」(ma ke kai holuholu o ka 'Ie'ie)であるうえに、そこをわたるにはちと役不足だった(?)Makee号。結局、相性がいまいちだったカップルの話なのか、はたまた許されぬ恋に撃沈した男性の語りなのか(!?)……真相はわかりませんが、いくつもの『Hula O Makee』のバージョンがあるという事実は、波に身をゆだねる船とそれを操る漕ぎ手といった役どころが、ハワイ語的イマジネーションをかき立てる重要なモチーフのひとつであることを示しているといえるかもしれません。

*:今回参照したのは『He Mele Aloha- a Hwaiian songbook』(Wilcox C et al ed, 2008)ですが、一部『Na mele o Hawai'i nei-101 Hawaiian songs』(Elbert SH ed, 1970)に掲載された別バージョンの歌詞も盛り込んで解釈しています(2番の※)。
**:Kapa'aはKaua’i島東部、Wailuaの北側にあるまち。
***:Makaainana, 1/4/1897, p. 8より。

参考文献
1)Andrade C: Ha*'ena-through the eyes of the ancesrors. Honolulu, University of Hawai'i Press, 2008, pp139-140


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