Me Ka Nani A'o Kaupo







 きみかい、車を走らせてやってきたのは。
 Kaupoのすてきな風景がお供してくれたかな。
 (それはそうと)道路はひどく曲がりくねってただろう。
 Kaupoの風景はすばらしいけれども。

 'O 'oe ho'i mai holoholo ka'a
 Me ka nani a'o Kaupo
 Ke ala nui kike'eke'e la*
 Me ka nani a'o Kaupo

 旅人は温かくもてなされるものなんだ。
 そして、すてきな風景があるKaupoなのさ。
 友人みたいに親しげな声で(歓迎する土地柄だから)。
 (それで、一層)美しさが際だってみえる、そんなKaupo。

 Pumehana me ke aloha na ka malihini
 Me ka nani a'o Kaupo
 I ka leo o ka makamala la*
 Me ka nani a'o Kaupo

 軽快なリズムとノリのいいメロディラインが、Kaupoを旅した幸せな旅の記憶を思わせる『Me Ka Nani A'o Kaupo』。Kaupoの美しさを眺めながら(me ka nani a'o Kaupo)とあるので、さぞかし快適なドライブだったに違いないと思いきや、「ひどく曲がりくねった道路」(ke ala nui kike'eke'e la*)とあって、どうも単なる楽しかった旅の思い出というのではなさそうです。
KaupoはMaui島東部のHana地域にあり、Haleakala*クレーターからダイレクトに続くKaupo渓谷を下ったあたりの海沿いのまち。この歌にも描写されるように道路事情がよくないのは、Haleakala*からの溶岩流が生み出した複雑な地形のためですが、だからこそワイルドな自然にあふれ、ほかでは見られないMaui島ならではの風景がみられるのも、この地域の特徴なのだと思われます。
作者のJohn Pi'ilani Watkins(1928-1983)は、『Me Ka Nani~』のほかにも『Ulupalakua』や『Waikaloa』といった、Maui島を歌った代表作で知られるミュージシャンですが、意外にも出身はO’ahu島。そして、不案内な土地でいつのまにか日が暮れてしまったのか、Maui島のKaupoあたりを訪れたときに、道に迷ってしまうというトラブルを経験しているようです。運よく地元のひとに発見されて事なきを得たようですが、冒頭の「君が車でやってきたひとかい」('o 'oe ho'i mai holoholo ka'a)と呼びかけるようなフレーズは、Watkinsが思いがけず救いの手を差し伸べられたときの、うれし過ぎる声かけだったのかもしれません。さらに二つ目のバースでは「友人みたいに親しげな声」(i ka leo o ka makamala la*)で呼び止められ、「旅人はよくしてもらった」(pumehana me ke aloha na ka malihini)とあって、きっとその晩は親切な誰かに泊めてもらい、温かい食事がふるまわれたのではないか……なんてことも想像されます。

 Maileで編んだ大切なleiは、すてきに香ってる。
 Kaupoの美しさを背景に。
 誇り高き思いを胸に抱きながら。
 Kaupoの美しさに包まれる幸せをかみしめて。

 Ku'u lei i ka maile ahe onaona
 Me ka nani a'o Kaupo
 Ku'u lei i ka hanohano la*
 Me ka nani a'o Kaupo

 私の気持ちは伝わったでしょうか。
 Kaupoの美しさに寄せるこの思いが。
 Maileから香るかぐわしさ(のような私の宝は)、
 Kaupoの美しさとともにある。

 Ha'ina 'ia mai ana ka puana
 Me ka nani a'o Kaupo
 Ku'u onaona i ka maile la*
 Me ka nani a'o Kaupo

 「Ku'u lei」(私の大切なlei)といえば、恋人や家族といった大切なひとのたとえとして用いられることが多いことば。ここでは、Kaupoで出会ったひと(たち)のことであると同時に、Watkins自身が土地のひとたちも含めたKaupoに寄せる、あふれる思いをあらわしているのではないかと考えてみました。Maileといえば、森の中に生息するイメージもあり、彼にとってはまさに迷い込んだKaupoを思わせるモチーフだったのかもしれませんが、その清らかな(聖なる)香りがただよってくるのを身近に感じ(ahe onaona)、しかもそれを「誇り高きもの」(ku'u lei i ka hanohano)と表現しているあたり、彼の中で、Kaupoというまちがすっかり大きな存在になってしまっていることがうかがえます。
 もともとその土地を旅するひと(malihini)でしかなかった彼が、その後、深い思い入れでもってかかわることになったKaupoのまち。見知らぬひと同士のこの交流は、迎える側、迎えられる側ともに、計り知れないふところの深さあってのことだったに違いない……なんてことを想像しています。

by John Pi'ilani Watkins
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