Pua Kiele






https://www.youtube.com/watch?v=tDFNVOF618I

 陽の光をあびて花は咲き誇り、
 大地は雨の恵みでもって命をはぐくむ。
 (そうして花開く)うるわしくも大切なkiele。
 その甘い香りがいま、ほのかに香っている(のを感じながら、あなたを思うのです)。

 Mohala mai ka pua i ka la*
 Ola no* ka ‘a*ina i ka ua
 E ku'u pua kiele nani e*
 Kou ‘ala onaona e ma*pu nei

 気持ちよく晴れた雨上がりの朝、いつになくすがすがしくめざめたときの、生まれ変わったような心持ちを思わせる『Pua Kiele』。やさしくふりそそぐ陽の光をあびて(i ka la*)花開くその瞬間に(mohala mai ka pua)、天からの啓示のごとくわき上がってきたその思いは、水の循環とともに命をはぐくむ大地であり(ola no* ka ‘a*ina i ka ua)、そこに生きとし生けるものたちへのいとおしさだったのでしょうか。そして、そんな気分をつれてきたのは、「e ku'u pua kiele nani e*」と呼びかけているkiele(gardenia、くちなし)の花。そのうっとりする香りが風にのってふいに訪れたことで(kou ‘ala onaona e ma*pu nei)思い起こされたのは、その花を愛してやまない、作者の祖母のことだったようです。

 (思わず)ささげ持ちたくなるほどいとおしく、
 求めずにはおれない大切な存在。
 (そんな)美しいkieleの花、
 その比類なき美しさで光り輝く存在(に、彼女はなにを語りかけていたんだろうか)。

 He pua ho'oheno a i luna
 He hiwahiwa na ka pu'uwai
 E ku'u pua kiele nani e*
 He nani lua 'ole e ‘alohi nei

 思わずささげ持ちたくなるほどいとおしく(ho'oheno a i luna)、こころから(na ka pu'uwai)大切にしている存在(he hiwahiwa)……このバースでは、kieleの花をいとおしく眺め、あるいは口づけせんばかりにその香りを楽しんでいる、祖母自身の姿が語られていると解釈して訳してみました。「大切な花よ」(e ku'u pua)とkieleの花に語りかける彼女は、はたしてなにを思っていたのか……そのあたりは彼女自身にしかわかりませんが、花をいとおしむその姿は、作者にとって、彼女の愛情深い人柄の象徴である可能性もありますね。少なくとも、彼女が大切にするその花が光輝き(e ‘alohi nei)、ほかに比べるものがないほどよきもの(he nani lua 'ole)にみえたのは、祖母のことを誇りに思う作者の気持ちをそこに重ね合わさずにはおれなかったからではないかと思われます。

 風が大地をきもちよく吹き抜ける(と思い出す)、
  大切なひとへ(伝えたい)。
 私はあなたの気持ちをしっかり受け止めるよと……。

 E pa* aheahe ka makani i ka honua
 E ku’u ipo
 E lei no* au i kou aloha

 「私は、あなたの深い愛情をleiのように身に着け(て大切にし)ます」(e lei no* au i kou aloha)……そんなふうに思わずこころのなかで叫びたくなるほど、ある日あのときにほおをなでた風は、やさしく包み込むような心地よさだったのでしょうか。ときおり訪れる風のように、いつもさりげなくそばにいて、彼をここちよく包み込んでくれる、そんな愛情深いおばあちゃんだったことがうかがえますが*、「e lei no* au」ではじまるフレーズには、彼女の全存在―彼女の価値観とか世界観みたいなものをすべて受け継ぎたいという、彼自身の決意にも似た思いが語られているような勢いが感じられます。こうして、風のそよぎとして語られるこころ模様が、まるで香る風とともにこちらに届きそうにも思えてくる『Pua Kiele』。大地の呼吸を感じつつ営まれるハワイの日常のひとこまを、ひととき垣間見たような気持にさせられる一曲でした。

by Josh Tatofi

*:この楽曲が作られたときに、作者の祖母がご存命だったかどうかは不明。
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